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群馬県立がんセンター

PACS「d-View 2」で快適な
院内全てのプラットフォームを構築

〜放射線科の画像から内視鏡・病理画像まで
あらゆる医用画像を一元管理〜

堀越浩幸放射線診断部長に聞く
群馬県立がんセンターは、2007年2月に新病院が完成し、5月から新たなスタートを切った。そして、同病院では、スリーゼット社開発の画像データベース「d-View 2」による新システムを構築した。新システムにより、放射線科という枠を超え、院内全体のワークフローにも画期的な変化をもたらした。「d-View 2」導入の経緯から現況までを堀越氏にインタビューした。

放射線診断部長 堀越浩幸氏
放射線診断部長 堀越浩幸氏

PROFILE

【所在地】
群馬県太田市高林西町617番地1

【病床数】
医療法承認病床数 総数322床(一般病床・入院定床)

【診療科目】
消化器内科、血液内科、呼吸器内科、消化器外科、乳腺科、呼吸器外科、婦人科、歯科口腔外科、頭頚科、麻酔科、泌尿器科、放射線科
※生活保護法、結核予防法、老人保健法、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律、身体障害者福祉法(免疫)、特定疾患医療給付事業、地域がん拠点病院

群馬県立がんセンター

最新鋭の医療機器で高度な診断を提供

今年5月からがん専門の先進医療施設となり放射線科内にも最新鋭の診断装置が揃い、ますます充実した医療の提供が可能となった。新設した装置は、PET-CTが1台、3TMRIが1台、16列MDCTが1台、デジタルマンモグラフィが1台、DRを3台導入した。
また放射線科の画像情報システムについても新たな変化があったという。「放射線科は4年前から、フィルムレスに備えてデータ蓄積を行っていました。今回は、新設に伴いCTやMRIといった放射線科の画像だけではなく、病院内で発生したすべての画像(内視鏡や病理の画像を含む)を一括して保存する体制を構築しました」と堀越氏は語る。

RIS、PACS、レポーティングシステムをd-View 2で統合

新しく放射線科に導入された画像情報システムは、スリーゼット社の医用画像データベース「d-View 2」とビューワソフト「MIView」。最大の特長は、RIS(*1)、PACS、レポーティングシステムを完全に共有しトータルなシステム化を図ったこと。さらに、院内のあらゆる医用画像と患者履歴を一元管理でき、必要な画像を素早く検索・参照することができる。PACS構築のコンセプトを次のように語る。「当院は、消化器系のがんが多く、消化器科が中心ですが、その他に泌尿器科や頭頚科なども設置されています。また、がんセンターという特性からCTやMRIでは、全身スキャンがメインとなります。そこで、常時1,000枚2,000枚という膨大な画像データを展開させる必要性があります。そういった画像データをスピード良く展開し、どう処理していくかというのを一番に考えました。
*1:RISシステムは株式会社システムサプライの製品。

院内全ての画像データがd-View 2で一括管理

d-View 2導入に至った要因や経緯について次のように語った。「以前、静岡の病院で勤務していた時に、オーダリングの端末からd-View 2が見られる画像情報システムをスリーゼット社で構築しました。そのシステムを発展させたものが今回の当院のシステムです。その時からサーバの運用にDVDチェンジャーなどは使用せず、全てハードディスク運用にしていました。当院に赴任して約6年半ですが、赴任当初は、RAID(*2)のハードディスクを持ったコンピュータが1台と、DICOM転送ができるCTとCRのみで、システムが何も構築されていませんでした。徐々に読影環境を構築していき現在に至ります」。さらに、カンファレンスでd-View 2を使用するようになると、他科の医師から画像も保存してほしいという要望が高まり、約4年前から内視鏡画像や病理画像、他のデジタル関係の画像など全てPACSに取り込みd-View 2で管理するようになったという。

表1
表1 院内システム構成図

*2:複数のハードディスクを組み合わせて1台として用いることで、ハードディスクの性能や信頼性を向上させる技術

RISとPACSのデータベースを完全共有化

堀越氏はRISとPACSを全く同じ環境にしたことについて次のように語る。
「RISをPACSのデータベースは、SQL(*3)で完全に統合化させました。お互いに必要なデータをそこから拾い上げて使うことが可能です。ですから医師は、レポートを書く時は、RISから、画像を開いたり、PACSからRISの情報を自由に閲覧することができるのです。放射線科内で、RISは診療放射線技師が使用して、PACSは医師が使用してというイメージがあるみたいですが、そうすると垣根を作ることになります。PACSに全ての情報が送信されないといけないのですが、それをすると整合性をとるのがすごく大変なんですよ。昔はフィルムで読影し、レポートを手書きで書いていました。それと同様に、PACSに送信された画像に対してd-View 2でレポートを付けるという形をとっています。だから、RISを中心にレポートを書くのではなくて、PACSに送信された画像に対して報告書を付けるというイメージのシステムになっています。オーダ情報、属性情報、また過去のレポート履歴が参照できる、そういうレポーティングシステムを作成して頂きました」。システム構築は、堀越氏が、スリーゼット社に要望を伝えて全てオリジナルで構築した。RISとPACSのデータベース共有化により、医師にも診療放射線技師にとっても、非常に効率の良いワークフローが完成したという。

*3:リレーショナルデータベースマネージメントシステム(RDBMS)において、データの操作性や定義を行うためのデータベース言語(問い合わせ言語)。

d-View 2徹底解剖

サムネイル表示とメニューボタン

d-View 2の特徴は、患者履歴一覧に検査をしたモダリティがサムネイル表示されること(図1)、使用頻度に合わせてメニューボタンの組み合わせが自由にできること(図2)の2点を挙げることができる。その利便性について次のように言う。「レポートを展開すると、患者履歴一覧があり、その画面で、全て検索することができます。モダリティを直感的に把握できるので、どの受診者が何の検査をしたのかが、サムネイル表示により、一目で分かるのです。この便利な機能も、スリーゼット社に依頼して作成しました」。また、メニューボタンは使用頻度の高いものを中心に自由に作成している。「RISのボタンを押せば検査状況などRISの情報を見ることができます。病理画像、マンモグラフィの石灰化のカテゴリー分類なども参照としてサーバからリンクできます。操作性が良く大変満足しています」。

図1
図1 d-View II 患者履歴一覧表示画面
図2
図2 使用頻度の高いものがメニューボタンに割り当てられている。

比較表示機能と未レビュー機能

d-View 2はその他にもいろいろなドクター支援のための工夫がある。がんを専門とする病院の特性上、患者の経過が長いので比較表示機能が大変便利だという(図3)。上段と下段で画像を並列でき、再発部位を画像上で追跡したり、読影中に、他画像の呼び出しも、画面を閉じずにワンクリックだけで呼び出すことができるという。
さらに未レビュー機能も搭載されている。「この未レビュー機能により、読影進捗状況の確認ができます。画面上に『未レビュー』と記載があれば、読影がどの段階まで進んでいるのかが一目で確認できます」。また、院外からでも画像のチェックやレポート作成ができるという。

図3
図3 MIView/比較表示が非常に便利。2メガのモニタでは、6分割表示が最もスピードが上がるという。

電子カルテとビューワソフトとのリンク

当院では、300台ある電子カルテすべてに、d-View 2とMIViewがインストールされており、DICOM画像を見ることができるという。これまで別々に運用されていた電子カルテシステムと画像ファイリングシステムのリンクが実現した。これにより、電子カルテから検査画像を素早く参照できる。その必要性について堀越氏はこう力説する。
「今までは、放射線科医だけが撮像した高解像度のDICOM画像を読影し、レポートを付けるという診療の流れがありました。しかし、近年放射線科医だけが、読影するという一方向だけの診療は無くなりつつあると感じます、やはりお互い医師としての責任がありますから、その責任を共有し背負うためには、高解像度のある画像を他科の医師も見る必要性があります。ですから、放射線科だけでなく、病棟と外来も同様に2メガのモニタを導入しています」。外来と放射線科の画像環境を同じにすることにより、コミュニケーションが非常に取りやすくなったという。「放射線科は、3メガのモノクロとカラーを一部導入しています。3メガのモノクロとカラーはデジタルマンモグラフィの読影(図4)など、高精細画像の単純写真を読むときに使用します」。

図4
図4 3メガモニタ/デジタルマンモグラフィや高精細画像読影に使用。

快適な遠隔読影

地域がん診療連携拠点病院として、5月から地域連携室が作られ病診連携に力を入れている同院。他病院からの読影依頼は、フィルムやCDで送られてくる場合も少なくないという。その場合は、デジタイザで読み込み、PACSに送信したり、スキャナから取り込むなど、あらゆる依頼に対応する。
「近隣の病院や、群馬県立精神医療センターの遠隔読影も行っています。VPN(*4)によるシステム構築で、クライアント側の端末を1台、完全にリモートし読影しています。クライアント側にRISシステムはなく、d-View 2とサーバソフトをインストールし、非常にスムーズで快適な読影環境を構築しました」。

*4:公衆回線をあたかも専用回線であるかのように利用できるサービス。企業内ネットワークの拠点間接続などに使われ、専用回線を導入するよりコストを抑えられる。

DICOMワークリスト〜診療放射線技師のスムーズなワークフローに貢献〜

同院では、スリーゼット社のDICOMワークリストが2年半前から導入されている。RISと連動し、患者の予約、受付、撮影実績管理等を行う。従来は、撮影時に診療放射線技師がモダリティで患者データを入力していたが、今では、受付で入力された患者データが直接モダリティに送信されるため、入力の手間も省け業務の効率が一層高まったという。また、内視鏡も含め全てのモダリティに対応している(図5)。

図5
図5 DICOMワークリストの患者予約実施リスト画面/患者が受付をすると、DICOMワークリスト上の受付欄にチェックが付き、検査が終了すると実施欄にチェックが付き進捗状況が表示される。

将来のデータベース作り

堀越氏は、データは半永久的に蓄積できるようなシステム構築を目指し、100年先を見据えたデータベース作りを病理の医師と共に作成したという。
「データは一生ものと考えています。CD、DVDなどのメディアには保存しません。病理の医師と100年後もすぐにデータが見られることを前提にして共に作成しました。病理の医師達もデータベースを使用してカンファレンスを行います。放射線科の画像データやレポートを見る事によって病理診断も変わってくるんですよ。病理の医師達は最終決定機関ですから、非常にプレッシャーがかかっています。彼らはより多くの情報を欲しがっています」。
放射線科と病理の相互の情報が往来することで、新たな関係が生まれ、データの蓄積により自然と1冊の教科書ができるようなものだと語る堀越氏。100年先を見据えた将来のデータベース作りが今まさに着々と進められているのだ。

読影室と操作室
読影室と操作室/モニタは、3面で構成されており、21インチの白黒3メガ、2メガカラー、19インチか17インチのレポーティング用モニタとなる。操作室の読影端末も全て同様に統一されている。

今後のPACSの問題点〜データベースとセキュリティの強化が必要〜

今後のPACSの問題点について堀越氏は次のように言う。
「データベースは、どんどん膨れていきます。データ量とスピードに100年後のデータベースが耐えられるかどうかという問題点があります。今の履歴管理は、スリーゼット社もそうですが、フィルムのコマごとにイメージデータとして1つ1つのデータを管理しています。例えば、10件あったとしたら、1件あたり、約1,000枚の画像データがあり、トータルで約10,000枚の履歴管理が必要になります。当初、私達が予測していた以上にシステムディスクが容量を圧迫しているという現状があり、今後、増々データベースの強化をし、セキュリティーを高めていく必要性があると思います」。


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